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発電機の選定、設置・取り扱いについて
1.発電機の容量(kVAとkW)
電力とは、電気が1秒間にどれだけの仕事をするのか、つまり電気の仕事をする割合を表したもので、単位にワット(W)またはキロワット(kW)を用います。直流の電力は、電力(W)=電圧(V)×電流(A)で求めることができます。
交流の場合、直流と異なり、コイルなどを通るとき電圧と電流の間にズレ(位相という)が生じるため、実際に仕事をする電力(有効電力)と実際には消費されることのない無効な電力(無効電力)が発生してしまう為、直流と同じように計算することはできません。
発電機の出力は、電圧(V)×電流(A)=VAで示され、一般には、その1000倍のkVAが使われております。kVAとは有効電力+無効電力であらわされる見かけ上の電力のことで皮相電力と呼び、kWを有効電力と呼びます。また、この皮相電力と有効電力の割合を力率と呼びます。
そこで、交流の有効電力は、 電力(kW)=皮相電力(kVA)×力率(注:)で算出します。
注:力率=(有効電力/皮相電力(電圧×電流))×100(%)
- 単相交流発電機(一般に単相交流発電機では力率は1.0) kW=kVA×1.0
- 三相交流発電機(一般に三相交流発電機では力率は0.8) kW=kVA×0.8
2.発電機容量の選定(使用機器(負荷)に必要な発電機容量)
発電機容量算定の目安
発電機の容量は、発電機の特性及び動かそうとする電動機の種類・特性により大きく左右されます。
使用機器(負荷)の中には「定常時」と「始動時」とで必要とする出力発電機容量の違うものがあり注意が必要です。
その中で代表的なものが誘導電動機(モータ)で、ほとんどの機器に使用され一般的なものです。
「定常時」とは、たとえば、5kWのコンプレッサーが5kWの仕事をしている状態を、また、「始動時」とは、コンプレッサーが最初に始動する状態をいいます。誘導電気(モータ)の始動時は定常時の6倍以上もの電流が流れ、大きな電力を必要とし、使用する機器によってその負荷が異なります。
使用機器 | 白熱灯電熱機器等 ( 抵抗負荷) | 蛍光灯水銀灯 (ハロゲン負荷) | ドリル・サンダー等使 用 機 器 (交流整子モータ) | 水中ポンプコンプレッサー等 ( 誘導電動機) |
---|---|---|---|---|
始動時負荷率 | 1倍 | 2.1~2.8倍 | 2.0~3.0倍 | 3.0~5.0倍 |
定常時負荷率 | 1倍 | 1.2~1.8倍 | 1.3~1.6倍 | 1.3~2.0倍 |
誘導電動機(モータ)の発電機容量の算出
- 定常運転時の発電機容量
- 始動時(瞬時電圧降下を考慮した場合)の発電機容量
記号 | 説明 |
---|---|
Xd' | 発電機の過渡リアクタンス(抵抗) ※一般には0.15~0.35 |
△V | 瞬時電圧降下 ※一般には0.25~0.35 |
Pm | モータの出力(kW) |
β | モータの1kW当りの始動入力(kVA) |
C | 始動方式による係数 |
概算式
上記の式でXd'が不明で△Vに特別な制約が無い場合Xd'=0.21 △V=0.30とし、
発電機容量(kVA)≒1/2×Pm×β×C
として概算計算ができます。
モータの始動階級
始動 階級 | 1kW当たりの 入力(kVA) | 始動 階級 | 1kW当たりの入力(kVA) |
---|---|---|---|
A | ~4.2未満 | L | 12.1~13.4未満 |
B | 4.2~4.8未満 | M | 13.4~15.0未満 |
C | 4.8~5.4未満 | N | 15.0~16.8未満 |
D | 5.4~6.0未満 | P | 16.8~18.8未満 |
E | 6.0~6.7未満 | R | 18.8~21.5未満 |
F | 6.7~7.5未満 | S | 21.5~24.1未満 |
G | 7.5~8.4未満 | T | 24.1~26.8未満 |
H | 8.4~9.5未満 | U | 26.8~30.0未満 |
J | 9.5~10.7未満 | V | 30.0以上 |
K | 10.7~12.1未満 |
始動方式による係数C
始動方式 | C |
---|---|
直入方式 | 1 |
Yー△ | 2/3 |
リアクトル | X/100 |
補償器 | (X/100)2 |
X:電圧タップ位置(%)
モータ始動kVAと標準効率
モータ出力(kW) | 始動kVA | 標準効率% |
---|---|---|
2.2 | 9 | 83 |
5.5 | 8 | 83 |
11 | 8 | 85 |
22 | 8 | 87 |
30 | 7.5 | 88 |
37 | 7.5 | 89 |
45 | 7 | 90 |
55 | 7 | 91 |
75 | 7 | 92 |
使用機器が複数台の場合(順次始動時)
分電盤等を用い、負荷を順番に始動するケースがあります。この場合の発電機容量は、
- モータ各々の定常状態入力KVAと始動時の入力KVAを計算します。
定常時kVA 始動時kVA モータ1 M1 PG1 モータ2 M2 PG2 モータ3 M3 PG3 - 必要発電機容量は(モータ1→モータ2→モータ3の順番で運転する場合)、上表のPG1、M1+PG2、M1+M2+PG3の一番大きい値を発電機容量として選定します。
注意:発電機の許容電圧降下について
発電機の瞬時電圧降下の許容値は負荷の条件によって決まりますが、その主なものは、
- 負荷を異常なく始動できること。
- 投入されている遮断器、電磁接触器などの保持が釈放されないこと。
などです。
低圧回路の電磁接触器などの操作電圧は,JISでは定格電圧の85~110%の範囲で動作が正常であればよいと規定されていますが、実際の製品ではもう少し低い電圧が許容できることから、一般に瞬時電圧降下は25~30%以内としています。
ただし、負荷が水銀灯、コンピュータを駆使した負荷などや回生制御を必要とするエレベータなどの負荷では発電機の瞬時電圧降下を十分考慮して発電機容量を決定する必要があります。
3.負荷の接続方法
負荷を接続する時は、締付ボルトをスパナ等で充分に締付けてください。もし、締付が不充分ですと、焼損の原因となります。また、使用する負荷の相数と電圧を確認して接続してくだい。
- 3相200V/220Vで使う場合
(50Hzでは200V、60Hzでは220Vとなります。) - 単相200V/220Vで使う場合
(50Hzでは200V、60Hzでは220Vとなります。) - 中性端子(O端子)使用の場合(単相115/127V)
(50Hzでは115V、60Hzでは127Vとなります。)
4.接地(アース)の取り方
- O端子はアースではありません。O端子にアース線を接続すると発電機または、負荷側モーターの焼損事故を引き起こします。アースは必ず中性点アース端子(E)から取って下さい。
- 安全のため別線で本体(ボディ)アースも取って下さい。
- アースを取らないと漏電保護装置が作動せず、感電・漏電火災などの原因となり危険です。
- アース工事は電気工事士(第三種接地工事)の資格が必要です。
- 負荷側にもアースが必要です。
- 接地抵抗値は500Ω以下です。
5.使用ケーブルの選定
使用ケーブルはケーブルに流すことのできる許容電流と発電機から負荷までの距離を考慮のうえ、充分な太さのものを使用してください。ケーブルに流れる負荷電流が許容電流を超えると過熱により焼損したり、また長さに対して細すぎると電気機器の入力電圧が下がり、仕事量が低下したり、作動しないことがあります。電圧降下は5%以内になるようにケーブルの長さと太さを選定して下さい。
ケーブルによる電圧降下簡略式
配線方式 | 電圧降下 | ケーブルの断面積 | 備考 |
---|---|---|---|
単相2線式 | e=35.6×L×1/1,000×A | A=35.6×L×1/1,000×e | L:ケーブル長さ(m) l:使用電流(A) A:ケーブル断面積(mm2) a:電圧降下(V) |
三相3線式 | e=30.8×L×1/1,00×A | A=30.8×L×1/1,000×e |
キャブタイヤケーブルの許容電流表
(周囲温度30℃以下)
導体公称総面積(mm2) | |||||||||||||||
---|---|---|---|---|---|---|---|---|---|---|---|---|---|---|---|
0.75 | 1.25 | 2 | 3.5 | 5.5 | 8 | 14 | 22 | 30 | 38 | 50 | 60 | 80 | 100 | ||
許容電流 | 単心 | 14A | 19A | 25A | 37A | 49A | 62A | 88A | 115A | 140A | 165A | 195A | 225A | 270A | 315A |
2心 | 12A | 16A | 22A | 32A | 41A | 51A | 71A | 95A | 110A | 130A | 150A | 170A | |||
3心 | 10A | 14A | 19A | 28A | 36A | 44A | 62A | 83A | 98A | 110A | 125A | 150A | |||
4心 | 9A | 13A | 17A | 25A | 32A | 39A | 55A | 74A | 89A | 100A | 115A | 135A |
注:この表は、キャブタイヤケーブルを通常の配線として用いる場合のもので、ドラム巻きなどで使用する場合は、製造業者などの指定する電流域少係数を用いる必要がある。
注:この表において、中性線、接地線および制御回路用の電線は、心線数に数えない。すなわち、単相3線式に使用する3心キャブタイヤケーブルは、内1心が中性線であるので、2心に対する許容電流を適用し、3相3線式電動機に接続する4心のキャブタイヤケーブルのうち1心をその電動機の接地線として使用する場合は、3心に対する許容電流を適用する。
キャブタイヤケーブルの引き伸ばし許容長さ
電圧 | 単相 100V | 3相 200V | キャブタイヤケーブルの定格電流(A) | ||||||||||||||
---|---|---|---|---|---|---|---|---|---|---|---|---|---|---|---|---|---|
モータ出力(kW) | 0.15 | 0.25 | 0.4 | 0.25 | 0.4 | 0.75 | 1.5 | 2.2 | 3.7 | 5.5 | 7.5 | 11 | 19 | 22 | 37 | ||
キャブ | 0.75 | 27 | ただし △起動に限る | 5.5 | |||||||||||||
1.25 | 44 | 29 | 27 | 380 | 225 | 140 | 55 | 12 | |||||||||
2 | 60 | 45 | 40 | 590 | 350 | 220 | 85 | 80 | 37 | 16 | |||||||
3.5 | 120 | 85 | 75 | 400 | 150 | 140 | 70 | 65 | 20 | ||||||||
5.5 | 600 | 240 | 220 | 110 | 100 | 25 | |||||||||||
8 | 320 | 160 | 150 | 80 | 35 | ||||||||||||
14 | 560 | 280 | 260 | 140 | 130 | 50 | |||||||||||
22 | 400 | 220 | 215 | 110 | 70 | ||||||||||||
30 | 560 | 300 | 290 | 150 | 100 | 190 | 85 | ||||||||||
38 | 370 | 190 | 125 | 240 | 100 | ||||||||||||
50 | 160 | 300 | 120 | ||||||||||||||
60 | 205 | 380 | 135 |